ぼんやりとした思索

ある暇人が、脈絡もなく、おもいつきで書き綴るブログ。

夢中という豊かさ

以前、東京都美術館メトロポリタン美術館展というのを観た。

これはその名の通り、かのメトロポリタン美術館の所蔵品の展覧会で、さすがにすばらしいものばかりだった。美術品に興味をもちだしてまだ日が浅い私は、美術館に行くと、やはり有名な画家の絵ばかりに目がいきがちなのだが、このとき一番気に入ったのは少しちがったものだった。

古代エジプトのレリーフでその名も<実った大麦のレリーフ>という一品。

これは石灰岩に、実った大麦が彫られたもの。

なんだかこれの前に立った時、えも言われぬ豊かさを感じた。これをつくった人の映像が頭の中に浮かんできたのだ。

もちろん自分の勝手なイメージなのだろうが、何か大きな木の陰で、石灰岩にむかって日がな一日トンテンカンテン大麦を彫っているのだ。いいなあ、豊かだなあ、などと思えてなんとなく泣けてくるような感じだったのだ。

こういう、創作に夢中になってる時間ってすごくいいのだ。高校の美術の時間、版画か何かの授業で、彫るほうに夢中になった経験がある。美術はたいていめんどくさくて、テキトウにやってたのに、その時だけ妙に楽しかったのが今でもはっきり記憶に残っている。あるいはそれを思い出したのかもしれない。

時間に縛られまいなどと頭で考えてるよりも、手を動かしてしまえば意外とすぐに時間なんて忘れてしまうのかもしれない。